「制約のない未来」への違和感の正体は、自分の過去にあった。

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「なんの制約もなかったら、何がしたいですか?」

という質問は、コーチングでよくする質問です。

でも、この質問をしても、「思い浮かびません」という人がほとんどです。

それは、今まで考えたこともないので、思い浮かばないことに無理はありません。

看護師なら、特に難しいと思うんですよ。

それは、普段、「制約のある」中で仕事をしているからです。

潜在意識の中に、「制約があれば、願いは叶わない」と無意識に思っていることが多いのです。

患者さんに対して感じることと、自分のことになると、話しは別なのですが、そこを切り離して考えることが、まず難しい。

がん末期で人工呼吸器をつけている患者さんや、IVH挿入して寝たきりで何年も療養病棟に入院している患者さんを毎日見ていると、いきなり「制約のないこと」を聴かれても、ありありとイメージすることが難しいのです。

そんな私も、コーチになって、当たり前のようにその質問をしていました。

それは、どこか自分の中で逃げている、というような感覚だったのかもしれません。

コーチなんだから、制約という常識の殻を破ってほしいし、相手の可能性を信じているので、必ずなりたい自分になれると思っていました。

でも、自分はどうでしょうか?

自分の人生においても、「何の制約もなく」と考えられていたかというと、そうではなかった気がします。

そんなモヤモヤを晴らしてくれたのが、先日ご紹介した、宮越大樹さんの「コーチング脳のつくり方」です。

Photo by Paula Schmidt on Pexels.com

第6章に、「制約のない未来を考える コーチングの可能性」として、脊椎損傷のクライアントとのエピソードが書かれていました。

“脊損”と聞いただけで、「制約しかない」と思いました。

実際、そのクライアントも、首から下が動かなかった。

そこで、その人に対して、

「もし、身体が動いたとしたら何がしたい?」

と問い続けたのです。

私は、動かせない患者に対して、それを聞くことは、「叶えられない悲しみ」の方が大きい気がしました。

ただ、「何のために」制約を外して夢を描くのか、ということです。

その意味を理解した上で問いかけていたのです。

最初は「別にないよ」と言っていた患者さんも少しずつ心の扉を開けていきました。

すると、「孫を抱っこしたい」という願いを伝えてくれて、その目的に気付いたそうです。

脊髄損傷で、首から下が一生動かないと宣告されている相手でも、信頼関係のもと、思考実験として、もし何でもできるとしたら?と考えてみる。僕たちコーチは、もしそうできるなら、それをしてみたいのです。

まずは制約を外して夢を描く。その中で本当に望んでいることに気付いていくのです。そしてその想いを踏まえた現実的な目標を立て、そこに向かって動いていく。

制約を外して描いた夢は、結果として叶うこともありますし、叶わないこともあります。

夢の中に隠れた「大切なもの」を何か別の形で叶えることはできるのです。

宮越大樹「コーチング脳のつくり方」p293

私の頭の中では、脊損だったら、絶対無理というこれまでの知識や経験により、無意識に制限をかけていたことに気付きました。

それと同時に、私が看護学生で初めて受け持った患者さんも、脊損だったことを思い出しました。

あの頃は、「脊損だから無理」など考えず、その患者さんだけを見て、その人の望みや、願いを心から聴いていました。

定年退職後すぐに落馬してしまったその患者さんに対して、純粋に「何がしてみたいですか?」と問いかけていたのです。それは、当時知識や経験が不足していたのかもしれません。

実際、看護計画を立てるときも、教員から「脊損だから、それは無理だよ」と言われたこともありました。

だけど、その人のことばかり考え、その人のために全力で関わったのです。感覚がないと言っていたのに、足浴の計画を立て、「気持ちよかったよ」とても喜ばれたことを今でも覚えています。

看護師になってから13年。いつからでしょうか・・・・。

疾患や症状で、決めつけてしまうようになったのは。

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大樹さんの本の中の患者さんは、なんとリハビリを重ね、左手を方の方向まで動かすことができたそうです。

これを聞いて、あなたはどう感じますか?

これは奇跡の物語ではありません。そもそも動く余地があったのかもしれないし、コーチが問い続けることで、夢を描き、意欲が掻き立てられたのです。

クライアントの可能性を100%信じると言っておきながら、これまでの経験から、心のどこかで、「どうせ無理だ」という想いがありました。

これを読んで、その呪縛から解けたような気がします。

「可能性を信じること」は簡単なことではありません。

フラットな状態で、ジャッジしないことは頭では分かっているけど、無意識を支配するのは大変な作業です。

でも、これまで急性期で働いて命を優先させていた頃の自分も、療養型病床で寝たきり患者さんに夢を描くことができなかった自分も、看護学生で脊損の患者さんの可能性を信じていた自分も、どの自分もその時の全力で、何も間違えてなかったことに気付きました。

制約がある中で全力を尽くせた自分を認めた上で、そっとその「制約」を手放すことができました。

今まで以上に、クライアントの可能性を信じるとともに、自分自身の可能性も心から信じられるよう、コーチとしての活動を全力で頑張りたいと思います!

ステイホームのゴールデンウィークに、コーチングセッションはいかがでしょうか?

お気軽にお問合わせくださいね(^^)/

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