プリセプターの経験から学ぶこと。

看護師3年目くらいになると、プリセプターになることが多いと思います。
私も、大きな病院のときは新人教育に少し携わったことがありますが、
3か所目の病院に就職したとき、そこは100床弱の小さな個人病院で、新人を受け入れていませんでした。
そんな病院で、大卒の新人が入ってくるという話があり、
私が、「歳が近いし、よろしくね!」と突然看護部長に頼まれたんです。
新人教育は担当した経験があったものの、
当時病院には「新人マニュアル」というものが存在すらしていなかったんですよ。
そもそも、何を使ってどのように指導しようというところから始まりました。
自分が新人でもらった新人マニュアルを引っ張りだしてきて、今の病院に合うように作り変えるという作業をしました。
大きい病院だと、マニュアルもしっかりしているし、勉強会や情報交換会も頻繁に行われるし、
何より同期がたくさんいます。
それに比べて、勉強会など皆無の個人病院だし、オペ室もないし、ほぼ療養型病棟みたいな場所で、学ぶ難しさを感じました。
看護技術的にも、経験できることは本当に少なかったんです。
それでも、私の知りえる限りのことを全力で教えようと、奮闘しました。
私が、新人教育で一番大切にしていることは、
「信頼関係」です。
コーチとクライアントの関係と同じように、「なんでも話せる関係性」が理想です。
自己開示もしながら、ただこちらがすべて教えるのではなく、「どうしたいか」という相手の想いを大切にするように心がけました。
そんなとき、ふと「なんで看護師になったの?」と、聞いたら、
「え?別になりたくてなったわけじゃないんですけど、収入も安定してるからいいかな~って」
「実習もつらくなかったですよ~。あ~それよりネイルやりたーい」
と、返答されました。
以前の私なら「看護師なら誰しも看護師になりたいエピソードがあり、強い看護観を持って働いている」という固定観念にとらわれていたかもしれません・
ここで、「自分の価値観を押し付けず、ニュートラルで」がポイント。
「自分の価値観」や「思い込み」に捉われないよう、フラットな気持ちでコミュニケーションをとることを意識しました。
「看護師になりたいと思った理由」がなくても、それが彼女の意見なので、否定することはありません。
毎月、「目標シート」を使って振り返りをしたり、「そのためにできること」をコーチングも交えて関わっていきました。
時には、目標に、「彼氏とケンカしたから仲直りしたい」と言ったりして(もちろんそれは提出できませんでしたが)、少しずつ信頼関係は深まっていったと思います。
仕事とプライベートも全く切り離しては考えられないと思うので、休憩時間等に、
「彼氏と仲直りして、何したい?」「彼氏と仲がいいときの自分って、どんな感じ?」「どんな気持ちで仕事ができたらいいかな?」
と、新人教育に恋愛相談も盛り込みながら(?)関わっていきました。
私だって、旦那とケンカしていたり、朝から子供が言うこと聞かずにイライラしていたら、仕事中もなんとなくやる気が起こりません。
新人教育とは別だとしても、プライベートも充実させることで、自分自身が「機嫌よく」過ごすことができ、仕事のパフォーマンスも上がると思います。
あっという間に1年が経ち、新人看護師だったその子が3年目を迎える前に、」
「私、美容系の仕事したいんですよね」と言いました。美容外科や、今流行りの眉のアートメイクは医師または看護師の資格がないと、施術できないそうなんです。
知らなかった。。病院以外の看護師の働き方って、いろいろあるのね。
小さい個人病院で働きながらも、そこで自分のやりたいことを見つけてくれたことが、すごく嬉しかったことを覚えています。
結局、その子は病院を退職しました。
やりたいことが見つかって、私のもとから離れて羽ばたいていく姿が見れるのが、コーチとしては、最高に嬉しいことだと思うんです。
コーチングは、クライアントさんに対してだけではなく、あらゆる場面で活用できます。